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2008年11月16日 (日)

稚児ケ淵(霊泉寺)

信濃毎日新聞にて紹介されたので少々知名度が上がりましたが、旧丸子町地籍の鹿教湯につながる国道254号線から脇道に逸れて霊泉寺温泉という小さな温泉地に行く途中の山道に、稚児ヶ淵という淵があります。

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これが稚児ヶ淵でして、遠くから見るのと違って、近くで見ると岩肌が深くえぐれていましてかなり壮観です。観光スポットとしてまったく有名ではないせいなのか安全のためのロープ等は全くありませんので、近寄る時には足を踏み外して崖下に転落しないように気をつけなければなりません。

ちなみになぜ少々話題になったかというと、この稚児ヶ淵がポットホールという珍しい浸食地形だからなのだそうです(経緯はこのページの説明が詳しいです)。この穴の中で岩が川の流れで回転し続けることによってできる浸食地形なのだそうですが、地質学に興味を持っている人の間でかなりの話題になったようです。

Chigo3

段々畑のようにできた丸いポットホールが、川の流れにできているのが分かると思います。

もっとも、稚児ヶ淵自体は地域民俗学に興味を持っていた人には以前からそれなりに知名度がありまして、旧丸子町の町誌にもその伝説が掲載されています。ですが案内板等はありませんでしたし、インターネットで検索してみましたがここの伝説が掲載されているものがありませんでしたので、伝説の内容を紹介してみます。

その昔、霊泉寺にお稚児さんがいました(当時は子供の見習い坊主さんを「稚児」と言いました)。このお稚児さんは真面目でとても性格が良く、みんなに好かれていたのですが、ある時から夜更けに寺を抜け出すことがたびたびあるようになりました。不思議に思ったご住職が他の坊主さんに、このお稚児さんがどこに夜歩きしているのか後をつけていくようにと指示しました。
指示どおりにお稚児さんの後をつけていった坊主さんが見たのは、お稚児さんが川の淵で美しい娘と楽しそうに語り合っている姿でした。坊主さんは寺に帰ってご住職にこのことを報告しますと、お住職が顔色を変えました。その娘は川の主で魔性の者であり、このままだとお稚児さんがとり殺されるとのことだったのです。
寺に戻ってきたお稚児さんに、お住職はそのことを言い聞かせました。いったんは納得し、もう川へと行かないと約束したお稚児さんでした。
ですが、夜になるとお稚児さんはいたたまれなくなってしまいます。結局、ふらふらと再び川の淵へと行ってしまったお稚児さんが見たのは、淵の水面で手招きする娘の姿でした。娘の姿を追うようにお稚児さんは淵へと身を投げ、それ以後、お稚児さんの姿を見た者は居ないそうです。以来、この淵を稚児ヶ淵と呼ぶようになったのです。

という話でして、距離的に近いせいかもしれませんが以前に紹介したせんが淵の伝説と近いものがあります。当時は戒律やしきたりが厳しい社会でしたので、このような悲恋話がたくさんできたのでしょう。

さて、お稚児さんがいた霊泉寺ですが、これはかなり大きなお寺であったようですが、明治時代に火災に遭いほとんどの建物を焼失しました。その中で残ったのが不開門(あかずもん)と大ケヤキの木だったのですが、大ケヤキの方は今年に大風で倒れてしまって今は切り株だけとなっています。

Keyaki

大ケヤキの元気な時の姿はこちらでご確認ください。

一方、不開門の方は大ケヤキの隣に今も建っていまして、一説によると室町時代のものだそうです。

Reisenji

Pict0088

かなりぼろぼろになってしまっていますが、この不開門にも伝説がありまして、龍伝説です。この伝説もあまり有名ではないのかインターネットで検索しても出てこなかったので、ざっとした概要を紹介してみます。

昔々、霊泉寺に中国から高名な絵師が来て、龍の絵を描きました。ところがその絵の出来ばえがあまりに素晴らしすぎたので魂がやどってしまいまして、龍が毎晩絵から抜け出て付近の村々に悪さをしてしまいます。困ったご住職は竜の絵を寺の一角に封印し、その建物につながる門を開かずの門としました。これが不開門なのです。
龍は水を司る神ですので、この神通力によっていかなる火災に遭おうと不開門は燃えないのです。

という伝説でして、たしかに明治の大火でも不開門は燃えていません。現在では不開門はただぽつんと立っているだけのぼろぼろの門ですが、そんな伝説の裏付けがあると思うとありがたみを感じるところです。

稚児ヶ淵の大体の位置は下の地図になります。

詳しい地図で見る

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