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2008年9月 1日 (月)

角間渓谷

上田市の真田地域になりますが、角間渓谷という絶景があります。意外と訪れる人は少ないのですが、古い時代の溶岩を川や風雨が浸食したことによってできた奇岩・奇景が数多く見られ、上田市の中でも屈指の名勝です。

Gake

角間渓谷に唯一ある温泉宿の岩屋館のすぐ横にある大岩壁です。伝説によるとこの岩壁をよじ登って猿飛佐助が修行をしたと伝わっております。実際に見ると写真よりも圧迫感があり、猿飛佐助ならこんなところを修行の地としたのではないかと思わせる迫力があります。

この大岩壁は下を流れる角間川という渓流の侵食作用によって出来たものでして、

Gake2

今も岩壁を深くえぐって石窟状に侵食作用が進んでいることが分かります。

角間渓谷は二つの伝説の舞台となっており、一つに猿飛佐助と真田幸村に関するものでして、本当にそうであったかはさておき相当数のゆかりの場所があります。

Ippai

これは上の大岩壁の近くにある一杯清水という湧き水ですが、真田幸村がその美味しさに惚れ込み、茶立てにはいつもこの水を使用していたとの言い伝えがあります。確かに、手を入れると驚くほどに冷たい清水でして、なかなかに美味しい水です。

Sarutobi

これも猿飛佐助に関するゆかりの大岩でして、その名も猿飛岩と言います。その名の通り、これも猿飛佐助の修行の場であったと言い伝わっており、岩から岩へと飛び移る修行をしていたとされています。

また、角間渓谷に伝わるもう一つの伝説は、真田幸村や猿飛佐助よりもずっと時代がさかのぼって、奈良・平安時代を舞台とする鬼伝説です。昔、角間渓谷には鬼が住んでおり、その鬼を征夷大将軍の坂上田村麻呂が討伐したと言い伝えられています。

Onigashiro

絶壁の上に奇岩が聳え立っているような風景が見えますが、これが鬼ケ城と言って鬼の砦であったと言い伝えられています。

また、岩屋観音と言って岩の下の浅い洞窟に観音堂がありますが、これは坂上田村麻呂が鬼を征伐した後に、再び鬼が住み着かないようにとの目的で鬼の住処に観音堂を建てたものであると言い伝えられています。

Iwayakannon

奥に見えるのが岩屋観音ですが、この写真ですとあまり迫力が無いと思います。

Iwayakannon2

写真をつなぎ合わしましたので画像に繋ぎ目がありますが、こんな感じの大岩の下に岩屋観音はありまして、実際に現地で見てみると押しつぶされそうな錯覚に陥ります。

鬼が実際に住んでいたかどうかは分かりませんが、発掘調査の結果、岩屋観音の洞窟は縄文時代に住居として使われていたようです。わざわざこんなところに住居を構えなくとも、と後世の私たちは思ってしまいますし、こんなところに好き好んで住むのは鬼の所業だ、と伝説を信じたくなってしまいます。

ちなみに、角間渓谷に伝わる鬼伝説と似た伝説は沢山ありまして、長野県内で有名なものですと鬼女紅葉伝説八面大王伝説でしょう。鬼女紅葉も八面大王も呪術の使い手でして、角間渓谷で坂上田村麻呂と戦った鬼「毘邪王」も彼らと同じく呪術の使い手であったと言い伝えられています。
特に八面大王伝説では、大王を悪者とする伝説と、中央からやってきた官吏の横暴に立ち向かった英雄とする伝説があり、この矛盾は学術的にも興味の対象となっています。鬼女紅葉伝説でも、彼女が織物の技術を村人に伝授した、などの伝説もあり一概に悪者とも言い切れません。
彼ら「鬼」とされた人々は中央集権に抵抗する土着の部族であり、彼らを悪者とした伝説物語は、朝廷の都合で捏造されたものだという説もあります。卑弥呼に代表されるように、昔ながらの地方部族はシャーマニズムによる結束が行われているものも多く、伝説に出てくる鬼たちが呪術を使うのはそのせいであると考えている研究者もいます。

そう考えると、鬼達が坂上田村麻呂との最後の戦いを挑んだ舞台が縄文人の住処の角間渓谷であるというのは実に興味深いことです。縄文時代もシャーマニズムが盛んだった時代ですので、呪術の使い手の「鬼」達が角間渓谷を聖地として崇め、死守を試みたとも想像が膨らみます。

遥か昔のことですので本当は何が起こっていたのか全く分かりませんし、今となっては角間渓谷の荒々しい自然の造形が残っているのみです。
岩屋観音の岩窟は、案内板等には書いてありませんでしたが恐らく、大昔に角間川によって浸食されてできたものでしょう。上から二番目の写真で紹介した猿飛佐助修行の大崖の下部にも石窟状のものが出来ているのが見られますが、これと同じ原理だと思います。岩屋観音から現在の角間川まで50mも標高差があるようですが、これだけの山の大地を川が掘り下げたということでして、今も昔も自然の力というものは物凄いものです。

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コメント

長い山道を行くとそこは岩山だった。
上田の中でも一味違う空間ですね。

確かに、猿飛佐助が戸田泊雲斎に教えを乞い
修行したと言われれば、そうかもしれないと
思わせる場所です。
更に、鬼女紅葉、八面大王などへの想像を広げて
くれます。
「鬼」というのも面白いテーマになりますね。

私は昼間にしか行った事がありませんが
夜の闇はまた違った世界なのでしょうね。

それにしても色んな所に出没するのですね。
ふむふむ・・・。


クジラ

投稿: そら飛ぶクジラ | 2008年9月 2日 (火) 18時28分

そら飛ぶクジラ様
私も岩屋館に宿泊したことはありませんし、夜の角間渓谷がいったいどのような様相になるのか興味はあります。角間温泉はいつも横目で見ているだけですので、一度角間の湯に浸かってみたいと思っております(日帰り入浴も可能なようですが)。

鬼とは何者であったのか、というのは非常に興味深いですが、いずれにせよ時の権力者にとって厄介で不都合な存在であったのは間違い無いところでしょう。徳川政権に反旗を翻した真田幸村・真田十勇士も反体制側の存在でして、彼らを英雄視する私たち上田人にも鬼の遺伝子は脈々と受け継がれている、と考えてみると楽しいかもしれません。

角間渓谷は途中の道の細さのせいか、紅葉のシーズンでもなければかなり静かな場所ですよね。都会の方から来た人を案内すると、かなり喜んでもらえることが多いです。

投稿: 飯島商店 | 2008年9月 3日 (水) 12時11分

伝説の地を歩くのも楽しそうですね。昔旅先で民話の本をよく買っていたのを思い出しました。
お江のようにサササッと駆ける真似は出来ないけど、踏み入りたくなる景色です。空気も違ってそう。
残暑が戻って来ました。こちらは苺だけでなく、梨も有名です。幸水をかじりながら、迫って来る大岩の写真で涼ませてもらっています。

投稿: 旅の途中Can子 | 2008年9月 3日 (水) 13時46分

旅の途中Can子様
上田地域に限らず信州は伝説・民話の宝庫でして、実際にその地に行くと非科学的な話ですら「さもありなん」と思わせるものがあります。角間渓谷は紅葉の季節には名所として有名ですので、機会がありましたら一度この秘境を散策なさってみてください。
もっとも夏ですとアブが多い場所ですので、春や秋遅くが散策のねらい目かも知れません。

長野県内では各地で雹が降り、梨に傷がついて損害が出ているようです。今年の梨は特に美味しく熟していましたので、農家は臍をかむ思いをしているようです。旅の途中Can子様がお住まいの地域では梨は順調に熟しましたでしょうか?

投稿: 飯島商店 | 2008年9月 3日 (水) 16時01分

今年は大当たりのようです。先週末近くの果樹園で頂いたおまけの梨でさえ、とても新鮮な甘さがたまりません。ほっぺたが落ちました。
県南では雹の被害は聞いていませんし、お盆までは昨年以上に暑く感じられました。甘味も一段と増したようです。

昨日ふと思ったのですが、飯島商店さんでは梨のジャムは考えていらっしゃらないのですか? 

投稿: 旅の途中Can子 | 2008年9月 5日 (金) 15時24分

旅の途中Can子様
今年は天災さえ無ければ、梨に限らず果物は当たり年になると思います。今月末の収穫になりますが、ブドウも順調な仕上がりを見せておりますので期待しているところです。
いずれにせよ天の恵みですのでありがたく頂きたいものです。
雹は極めて局所的に降る傾向がありまして、極端な場合、雹害を受けた農家の隣の農家では雹害をあまり受けないということすらあります。本当に、こればかりは運を天に任すしかありませんし、農家泣かせなところです。

日本梨については、風味があっさりとし過ぎていますのでジャムには一般的にあまり向かない果物だと思います。それに、梨の果実は石細胞というもので出来ているのですが(梨を生で食べた時にシャリっとした独特の心地よい食感がありますが、これは石細胞によるものです)、この石細胞がジャムにした時に曲者でして、舌触りの極めて悪いジャムになってしまいます。
過去に何度か試作はしてみたのですがやはり、梨は生で食べるのが一番、という結論でして苦笑しております。

ですが、洋梨ですと可能性はあると思います。洋梨についてはあまり試作をしたことがありませんので、折を見て試してみたいと思っております。

投稿: 飯島商店 | 2008年9月 5日 (金) 20時38分

昨日は豊水を頂いてきました。ジャムに不向きかもしれませんが、ペースト感覚で試してみたいと思っています。
ルバーブは少しニッキのような風味がして意外でした。大人の味で・・・ピッタリくる言葉が見つかりません。はまってしまう味というか、これで閉めたくなるから不思議です。
山根白桃の販売が始まった頃にプレーンタイプも併せて注文しようと思います。

お店では長野や山形産のつがるが並んでいます。8月末から県央でリンゴ狩りが始まりました。早生のさんさです。同じ県にいても目にすることはありませんが、地元紙にさんさの文字を見ると初秋を感じます。
ありがとうございました。

投稿: 旅の途中Can子 | 2008年9月 8日 (月) 14時29分

旅の途中Can子様
ルバーブジャムを気に入っていただけて嬉しく思っております。
ニッキ飴のような風味は肉桂によるものでして、独特の甘い香りのするスパイスの一種です。ルバーブ自体の香りはこの肉桂の香りでマスクされていますので、旅の途中Can子様のお買い求めになられた従来タイプのルバーブジャムでは、ルバーブ本来の香りとは異なったマイルドなものになっています。

ルバーブ本来の芳香、となりますとやはり、今度発売されたプレーンタイプのルバーブジャムを召し上がっていただければはっきりと分かると思います。お客様の中にはこの芳香をよく知っておられる方もいらっしゃいまして、そのお客様から「どうして肉桂でマスクするのか」との強いご要望をいただいておりました。
しかし、ルバーブの芳香は西欧諸国では非常に好まれているものの、どちらかというと日本人にはあまり馴染みの無いものなのです。ですので、初めての方でも食べやすいよう、従来は肉桂入りのジャムのみをご用意していたという経緯があります。
私どもはプレーンタイプのルバーブジャムも美味しいものだと感じておりますが、この芳香の癖の強さを考えますと、店舗でご試食されてプレーンのルバーブの香りを体験されてからのご購入をおすすめいたしております。

ただ、他の種類のジャムでは絶対に味わえないような全く独特の風味ですので、一度は体験してみることをお勧めいたします。


信州ではさんさの出荷がピークを過ぎ、つがるの出荷が始まったところです。ブドウの収穫時期も近くなり、まだまだ暑い日々ですがいよいよ秋へと突入です。

ところで、面白いもので、信州では青森産のりんごをばかにする傾向があります。「青森産のりんごなんて高いばかりで、味がスカスカでちっとも美味しくない」というのがリンゴ農家の共通認識です。
また事実、青森産のリンゴと地元産のリンゴを食べ比べると、地元産のリンゴの方が圧倒的に美味しかったりします。

ただ、青森では青森で「信州産のりんごなんてまずくて食べられない」と言っているのだと思います。これは恐らく、流通の問題でしょう。鮮度の良い地物を食べるのが一番ですし、地元ですと「どこそこのりんごは美味しい」との情報に精通している、ということもあるのでしょう。

投稿: 飯島商店 | 2008年9月 8日 (月) 17時27分

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