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2008年9月 7日 (日)

曲尾の一杯清水

真田町の曲尾という地域に一杯清水という湧き水があります(大体の位置)。

Ippai

水は冷たいのですが、万全を期すのなら生で飲むことはあまりおすすめ出来ません。
先週の大雨の影響でしょうか若干白く濁っていましたので、恐らく湧き水と山肌を伝った水が混ざることがあるのでしょう。特に雨が降った後は要注意かもしれません。

この一杯清水は旧松代街道沿いにあります。明治期まで旧松代街道は上田と北信地域をつなぐ主要な幹線道路でして、明治後期に県道がこの街道の下に開通するまでは、峠を越える人でかなりにぎわったようです。

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上の写真が旧松代街道でして、道の右にあるのが一杯清水です。当時は通行者の喉を潤す貴重な湧き水として一杯清水は珍重されていました。幕末の兵学者で勝海舟や坂本竜馬の師匠として高名な佐久間象山もこの一杯清水を愛飲していたと伝わっておりまして、この湧き水で喉を潤し、彼が住んでいた松代から上田の活文禅師の寺子屋へと通っていたそうです。

さて、この一杯清水ですが、実は面白い伝説があります。山口の一つ火と瓜二つの昔話があるのです。
話の筋はつつじの乙女と全く同じです。
通い娘が旧松代街道にて毎晩上田へと通っていたところ、それを気味悪く思った男が雨の夜に一杯清水で娘を待ち伏せして切り殺した。それから雨の夜になると旧松代街道沿いに火の玉が現れ、一杯清水から上田へと向かって峠越えをしていた、との話です。
向う坂の一つ火と言って恐れられていたそうですが、県道が新たに開かれて旧松代街道に人通りが無くなるとともに、ぷっつりと見られなくなったということです。

話の美しさと完成度で行くとつつじの乙女の伝説には敵いませんが、伝説はいくつかの別の話を組み合わせて一つの話とすることがよくありますので、案外つつじの乙女伝説のオリジナル話は向う坂の一つ火にあるのかも知れません。つつじの乙女の松代から上田までの太郎山連山縦走劇はちょっと非現実的ですが、一杯清水のある旧松代街道でしたらかなり話が現実味を帯びてきます。
もっとも、山口の一つ火や向う坂の一つ火と同じような伝説は他にも見られまして、越戸峠(上田市越戸)にも全く同じような話があります。

悲恋話や物語はいくらでも創作することができますが、「怪しい火の玉が見える」という視覚は創作することが出来ません。もしかしたら上田地域で相当数の狐火現象の観測ポイントが当時は存在し、後付けでつつじの乙女のような悲恋話を人々が結び付けて行ったのかも知れません。
いずれにせよ明治・大正期にはこのような火の玉話は全く聞かれなくなったようです。今となっては完全に謎でしかありませんが、それだけに色々と想像を膨らますことができるのも楽しいものです。

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