« 霧の菅平 | トップページ | 角間渓谷 »

2008年8月30日 (土)

野倉の赤地蔵

以前にご紹介した、延命水のほど近くですが、赤地蔵という木彫りのお地蔵さんがあります。

Akajizou

よだれ掛けや頭巾ではなく全身が真っ赤ですのでかなり奇異な感じを受けますが、この赤地蔵には更に奇習があります。雨乞いの儀式として、この赤地蔵を産川の淵へと沈めるというものです。

そう言ってしまうとなにやら人柱に通ずるものを感じてしまい、赤い色にもなにやら血なまぐさいものを想像してしまいがちですが、一般的に伝わっている話ではそういう意味は全く無いようです。お地蔵さんを水の中に沈めると言う「ばちあたり」なことをすることによって、お天道様の機嫌を損ねて空を曇らせる、という意味のようです。
赤い色は、魔除けの意味があるようです。実際、朱(水銀の化合物です)はその防腐効果のせいもあってか、古来から魔除けとして使われてきました。古墳の石室内から大量の朱が見つかったりするのはそのせいです。

赤地蔵は全国各地に見られますし、雨乞いでお地蔵さんを水の中に沈める風習も全国各地で散見されます。
ですが、それをしたことによって災厄が起きたという伝説もありまして、地蔵を赤く塗ったことによって一夜にして海中に沈んでしまったという高麗島伝説などはその代表例でしょう。また、上田市内にも真田地域には、雨乞いをしようと地蔵を池に沈めた者が、池の中に引きずり込まれて行方不明になったという伝説があります。

昔は現在よりももっと神仏への畏敬の心は人々の間で強かったでしょうし、その人たちをして「ばちあたりなことをしてでも」と思わせるほどに、雨乞いというものは人々にとって切実なものだったのでしょう。野倉の赤地蔵は正式には延命地蔵尊と言うようですが、まさに雨不足が命に関わる重大事だったのだと思います。
そう思うと、ばちをあてずに人々の願いをただ聞き入れてきた野倉の赤地蔵のやさしい表情には無限の慈愛のようなものを感じて、思わず手を合わせずにはおれません。

|

« 霧の菅平 | トップページ | 角間渓谷 »

上田近郊の名勝・名所・文化財」カテゴリの記事

伝説・伝承」カテゴリの記事

コメント

昨日NHK「鶴瓶の家族に乾杯」は上田の旅でした。ご覧になられましたか?
奥田瑛二さんが日本の原風景の地をということで、野倉で待ち合わせて旅は始まりました。その時赤いお地蔵さんが一瞬見えたので、あっ、野倉の赤地蔵さん!と気づきました。それから龍の子太郎のお話も紹介されたので、今朝になって懐かしく小泉小太郎物語を拝見したわけです。
のどかな里山に人との穏かなふれあい。私も上田の春を歩きたかったと思う時間でした。

投稿: 旅の途中Can子 | 2009年6月 2日 (火) 17時44分

旅の途中Can子様
「鶴瓶の家族に乾杯」は見ていませんでした。野倉は上田の中でも特に閑静な田舎の集落ですので、確かに日本の原風景といった感があるかも知れません。野倉は平家の落人の隠れ里だという伝承がありますが、さもありなんといった場所に位置しています。
赤地蔵の前を通ったということは、夫婦道祖神に行く途中だったのでしょうか?このブログでは紹介していませんが、夫婦道祖神は野倉の有名な観光スポットでもあります。

春の野倉も良いですが、深緑のこれからの季節もまた良いものです。
よろしかったらまた上田へとお越しくださいませ。

投稿: 飯島商店 | 2009年6月 3日 (水) 10時33分

近くの神社に参拝してから、夫婦道祖神に向かいました。女神が男神の手を握っていて珍しいんだと地元の方がうれしそうに話していましたけど、お互いの肩に手を掛け合っているところがほほえましく感じました。旅の続きは来週放送されるそうです。
撮影は上田城千本桜まつりの最中で、紙で作った甲冑姿のボランティアの方々の様子や映画のロケで使われる街並みの紹介もあって、上田のまちなかはとても賑やかでしたよ。

雨が似合う花、アジサイの季節になりました。飯島商店さん、しだれ桑の実は生っていますか?

投稿: 旅の途中Can子 | 2009年6月 4日 (木) 15時52分

夫婦道祖神は確かに上田地方では珍しいものなのですが、実は全国的に見るとそう珍しいものではありません。ですが野倉の夫婦道祖神は作りの美しさとほのぼのした雰囲気で、野倉の鄙びた景色と良く合っていると言えるかも知れません。
千本桜祭りは確かに公園はとても賑やかになりますが、街中はかなり静かなものです。武者行列などのイベントがあるとその時だけは人が集まりますが、終わるとすぐに閑散としたいつもの街中になってしまいます。いつもお祭りの時と同じくらいに、街中に人が歩いてくれればなあと思わず苦笑してしまいます。

しだれ桑の実は今年も実っています。ぽつぽつと赤黒く熟した実も出てきました。桑の実加工は来週くらいから始められそうな予想をしています。

投稿: 飯島商店 | 2009年6月 5日 (金) 19時09分

こちらでも秀郷まつりの時はごった返しますが、時間が過ぎると静かないつもに戻ります。街なかに人を呼び込むっていうのは難しんですね。特に商売をされている方は大変なんだろうなと思います。
去年5月子どもまつりの賑わいの中で、ミニ放水の体験もしました。急な雨に「うえだ街歩き」を仕舞い込んで、慌てて帰ることになりました。今でも思います。上田は本当に歩きたくなる街です。真田坂を上ってどんどん歩いて行きたくなります。ありがとうございました。

投稿: 旅の途中Can子 | 2009年6月 8日 (月) 18時29分

上田と真田坂をお誉めいただきありがとうございます。小さな街並みではありますしこのご時世ですので、なかなかどこも苦労をしておりますが、何とか駅前商店街を維持して行こうと頑張ってまいります。

そういえば佐野は藤原秀郷のお膝元でしたね。秀郷まつりは見たことがありませんが、そのうちいつかゆかりの地を歩いてみたいと思います。

投稿: 飯島商店 | 2009年6月 8日 (月) 19時26分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/520154/42289241

この記事へのトラックバック一覧です: 野倉の赤地蔵:

« 霧の菅平 | トップページ | 角間渓谷 »